抱きしめろ!
2007年 01月 28日
今日は休日。昨日は出勤だったので、ちょっとのんびりしてみた。
昼間ふとテレビを見ていたら、「課外授業~ようこそ先輩~」がやっていた。
久しぶりに最初から見ることが出来たのだけれど、今回出ていたのは金子兜太(とうた)という俳人だった。
私の記憶にはなかったけれど、母は「へぇ、まだ生きているんだね。お母さんは教科書でこの人の俳句を読んだのよ。」と語り、一緒に番組を見始めた。
金子兜太は87歳のおじいちゃんだ。
でも、かくしゃくとしている。なんていうか、堂々としている。
その彼が、秩父にある小学校に出向いていく。
まず、自己紹介のために黒板に大きく自分の名前を書きながら、「これは“とうた”と読みます。変な名前です。」などと言って、おもむろに大きな鞄をから“尿瓶”を取り出す。
「私は毎日これを使っているので、自分を紹介するのにぴったりなんです」とか何とか・・・
きれいに洗ってきたから大丈夫と言われた尿瓶を子供たちは次々にバトンタッチをするように渡していく。ちょっと匂いをかいでいる子、興味津々の子。いろいろだ。
その後、尿瓶を題材にした俳句を金子兜太は披露し、子供たちにも“物”を題材に自己紹介の句を作ってほしいと課題を出される。
持ってきたものを使って思い思いに作った句を聞いた兜太は「うん、おもしろい」とか「素直でいい」とか、とっても大きな心でその一つ一つを受け止めているように見えた。
そしてその後、川べりまで来て句を作らせた。
その時の彼はちょっと厳しくなっていた。一人の子は「頭だけで作っている。もう一度やり直し」
と言われていた。
その理由がわかったのはその後。
大正産まれの彼は悲惨な戦争について教室で語った。
食べ物が無くて、たくさんの人が死んでいく。
無残な戦争というものを体験者として熱く語っていた。
子供たちも聞き入っている。
そして、おじいちゃんとは思えない力強さで「抱きしめろ!」と言った。
目の前にあるものには全て“いのち”がある。
自分と同じ“いのち”がある。
それを抱きしめるんだと。
何度も何度も「抱きしめるんだ」と手をぎゅっとする。
私の心もぎゅっとされたような気がした。
そして、頭で考えるよりも先に抱きしめる。そうすると相手の心を感じるようになる。そこで初めて頭を使うんだ。というようなことを言った。
その後、大切なものを句にしようということになった。
ランドセルを選んだ子がいた。
どうしても欲しかったランドセルがあった。でも母親からは「家は貧乏だから、他のを」と言われてしまったという。でもどうしても欲しかった彼はもう一度おねだりをしたら、買ってくれたから、大切だと。
彼が作った句はとてもシンプルだったけれど、大切にしたい気持ちがあふれている気がした。
番組の最後彼は、ランドセルを抱きしめたら「さみしいよぉ」という声が聞こえたという。
もうすぐ小学校が終わってしまうから。その声を聞いて“大切にしたい”という気持ちを表したのだと感じてじーんとなった。
みんなで作った句を黒板にはって「句会」をすることになった。そこには兜太の句もまじっている。名前を書いていないまま、一つ一つの句について感想を聞いていく。
その時に兜太は自分の句も何気なく感想を聞いた。
すると「頭で作った句だ!」という痛烈な感想がよせられた。
「そうだな、そうだな。」と聞いている彼。
句会が終わったあと、みんなが自分の名前を書き、誰の句かわかってしまった。
でも兜太は「言ってくれたのは本当のことだ。頭で考えるなと言っておいて、自分で言ったいたことを実践できていない悪い見本がこの句だ。」と言って、帰りがけに「批判されて痛快だった」と言ってさわやかに笑った。
いのちを抱きしめる。それがどれだけ大切で難しいことなのか。
自分で自分を抱きしめてみる。温かい。心臓がトクトクと音をたてている。自分の息使いも聞こえてくる。大切ないのちだ。
私はいろんなことに対して無頓着だけれど、全てがいのちあるものだと思うともうちょっと大切にできるような気がした。
昼間ふとテレビを見ていたら、「課外授業~ようこそ先輩~」がやっていた。
久しぶりに最初から見ることが出来たのだけれど、今回出ていたのは金子兜太(とうた)という俳人だった。
私の記憶にはなかったけれど、母は「へぇ、まだ生きているんだね。お母さんは教科書でこの人の俳句を読んだのよ。」と語り、一緒に番組を見始めた。
金子兜太は87歳のおじいちゃんだ。
でも、かくしゃくとしている。なんていうか、堂々としている。
その彼が、秩父にある小学校に出向いていく。
まず、自己紹介のために黒板に大きく自分の名前を書きながら、「これは“とうた”と読みます。変な名前です。」などと言って、おもむろに大きな鞄をから“尿瓶”を取り出す。
「私は毎日これを使っているので、自分を紹介するのにぴったりなんです」とか何とか・・・
きれいに洗ってきたから大丈夫と言われた尿瓶を子供たちは次々にバトンタッチをするように渡していく。ちょっと匂いをかいでいる子、興味津々の子。いろいろだ。
その後、尿瓶を題材にした俳句を金子兜太は披露し、子供たちにも“物”を題材に自己紹介の句を作ってほしいと課題を出される。
持ってきたものを使って思い思いに作った句を聞いた兜太は「うん、おもしろい」とか「素直でいい」とか、とっても大きな心でその一つ一つを受け止めているように見えた。
そしてその後、川べりまで来て句を作らせた。
その時の彼はちょっと厳しくなっていた。一人の子は「頭だけで作っている。もう一度やり直し」
と言われていた。
その理由がわかったのはその後。
大正産まれの彼は悲惨な戦争について教室で語った。
食べ物が無くて、たくさんの人が死んでいく。
無残な戦争というものを体験者として熱く語っていた。
子供たちも聞き入っている。
そして、おじいちゃんとは思えない力強さで「抱きしめろ!」と言った。
目の前にあるものには全て“いのち”がある。
自分と同じ“いのち”がある。
それを抱きしめるんだと。
何度も何度も「抱きしめるんだ」と手をぎゅっとする。
私の心もぎゅっとされたような気がした。
そして、頭で考えるよりも先に抱きしめる。そうすると相手の心を感じるようになる。そこで初めて頭を使うんだ。というようなことを言った。
その後、大切なものを句にしようということになった。
ランドセルを選んだ子がいた。
どうしても欲しかったランドセルがあった。でも母親からは「家は貧乏だから、他のを」と言われてしまったという。でもどうしても欲しかった彼はもう一度おねだりをしたら、買ってくれたから、大切だと。
彼が作った句はとてもシンプルだったけれど、大切にしたい気持ちがあふれている気がした。
番組の最後彼は、ランドセルを抱きしめたら「さみしいよぉ」という声が聞こえたという。
もうすぐ小学校が終わってしまうから。その声を聞いて“大切にしたい”という気持ちを表したのだと感じてじーんとなった。
みんなで作った句を黒板にはって「句会」をすることになった。そこには兜太の句もまじっている。名前を書いていないまま、一つ一つの句について感想を聞いていく。
その時に兜太は自分の句も何気なく感想を聞いた。
すると「頭で作った句だ!」という痛烈な感想がよせられた。
「そうだな、そうだな。」と聞いている彼。
句会が終わったあと、みんなが自分の名前を書き、誰の句かわかってしまった。
でも兜太は「言ってくれたのは本当のことだ。頭で考えるなと言っておいて、自分で言ったいたことを実践できていない悪い見本がこの句だ。」と言って、帰りがけに「批判されて痛快だった」と言ってさわやかに笑った。
いのちを抱きしめる。それがどれだけ大切で難しいことなのか。
自分で自分を抱きしめてみる。温かい。心臓がトクトクと音をたてている。自分の息使いも聞こえてくる。大切ないのちだ。
私はいろんなことに対して無頓着だけれど、全てがいのちあるものだと思うともうちょっと大切にできるような気がした。
by norinorigami
| 2007-01-28 21:29
| 心から・・・